• 空き家問題の早期セルフマネジメント

解決策

家の将来に対する考え方

「まだ先の話だから」なんてことはない

「両親はまだまだ元気だから」
「兄弟もいるし、その時になったら考えればいいだろう」
なんてことを思ったまま、家を引き継ぐことになるケースがよくあります。
いざ、売却に向けて進もうしても、相続登記がされていなかったり、遺産分割でトラブルになったりと、スムーズにいかないことも。その間も家は放置され続け、管理する人がいないと劣化が急速に進みます。
実家じまいに掛かる時間は半年~1年といわれています。その間にも管理は続ける必要がありますし、売却機会を逃してしまう可能性も。
いざというときにスムーズに行動するために、今のうちにできること、今しかできないことがあります。

何もしないとどうなる?実例紹介

両親の生前に何もしていなかったことで、無駄な費用や時間が発生したトラブル事例をご紹介します。

■ケース1:年間20万円の出費が…
 両親の死後、葬式や手続きなどでバタバタし、家のことは後回し。落ち着いた後も、本当は売却したいが自分の判断で家を勝手に処分していいのか…?キリの良いタイミングは?なかなか踏ん切りがつかずそのまま放置し、気が付けば10年間無駄に維持管理費を年間20万円ほど払い続けていました。両親の生前に意思を確認していれば…

■ケース2:兄弟間でトラブルに…
 私は2人兄弟の弟ですが、両親の死後、「長男だから」という理由で長男が遺産を全て自分で独り占めしてしまいそうになりました。トラブルになり弁護士に依頼することに。費用や時間もかかりました。両親が遺言書を作成していればこんなことには…

■ケース3:片付けが終わらない…
 実家を売却しようと空き家バンクに出していたところ、買い手が見つかりました。すぐに入居したいとのことでしたが家の中にはまだ家具や荷物が残っている状態。早急に片付けを進めるものの、写真など思い出の品を勝手に処分していいのか?仏壇は?家具は?人形は?なかなか進まないうえ、片付けのために実家に何度も通うのにも一苦労しました。

家族でできる事前準備

■所有者を確認する
 法務局などで登記を取得し、相続登記がきちんとされているか確認しましょう。
 登記を確認所有者が先代のままになっている場合、相続や売却との手続きもできません。

 登記を確認する方法は以下の3つがあります。
  ①法務局の窓口にて交付請求:600円
  ②郵送にて交付請求:600円+郵送代
  ③インターネットにて交付申請または閲覧のみ
    証明書取得:500円/閲覧のみ:332円

■家を引き継ぐ方法について考える
 家を引き継ぐ方法は1つではありません。
 一般的な相続だけでなく、生前贈与や家族信託など、事前に所有者を移転する方法もあります。
 どのような形で引き継ぐのがよいか、自分たちの状況に応じてご家族でしっかりと話し合い検討しましょう。
 引き継ぎの方法についてはこちらもご覧ください。

■片付けに向けた準備を進める
 売却に向けて大変になるのが家の中の片づけ。
 特に、実家から離れて暮らしていると、片付けのためだけに何回も通う羽目になります。また、片付けをしていると、どう処分すればよいか分からないものが多数出てくることも。
 もう使わないもの、いずれ処分するものは今のうちに片づけておきましょう。
 片付けについてはこちらも合わせてお読みください。

ご両親(所有者)ができる事前準備

■遺言書を作成する
 遺言書がない場合、残された相続人で遺産分割協議を行いますが、誰が相続する・しないなど相続人同士で揉め事になり、先に進めなくなる可能性もあります。
 自分の死後、誰にどのように財産を受け継いでほしいのか意思を残しておくことで、トラブルになることを避けましょう。

■資産を整理する(エンディングノートを作成する)
 ご自身の所有する財産がどれくらいあるかを把握し整理ておくことで、相続の際の手続きに困ることも少なくなりますし、相続税の課税対象となるのかどうかを確認することができます。

 【参考】相続税の基礎控除(資産が下記以上になると相続税が発生します)
   基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 
 不動産(土地や建物)、預貯金、有価証券等、所有する財産を洗い出しておきましょう。
 エンディングノートに分かりやすく記しておくと残された家族も安心します。
 
 また、上記以外にも、家の中に残されたものはすべて資産となり、相続の対象となります。
 家族が片付けに困らないためにも、必要なもの、不要なものを今のうちに整理しておきましょう。
  • この記事の筆者

    中電技術コンサルタント株式会社

    織田 恭平

    技術⼠(建設部門)

    普段は、建設コンサルタントとして自治体の空き家対策を支援している。空き家以外にも、都市計画・まちづくりに係る各種プランニングや、地⽅創⽣関連事業の企画・運営等に従事。 趣味はサイクリング。

    この記事は2022年12月27日に作成したものです。

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